ササラモサラな気分で

大体は映画のこと書いてます。










《シュガー・ラッシュ》

不条理に不器用な持たざる者たちが打ち勝つディズニー製男泣き映画

シュガー・ラッシュ3D


ピュアすぎる高校生の映画感想 





90点


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好きなキャラクターを好きなだけ使っている、おもちゃ遊びのようなお祭り映画のノリを期待していくと少し拍子抜けしてしまいました。

何故かというと、邦題にもなっているシュガーラッシュというゲームが話に絡んでくるまでの序盤はパッとしない見た目のうだつの上がらないおっさんがメインで、痛々しいまでにやること成すこと裏目に出てしまう主人公のおっさん=ラルフの姿を見せられるから。

生まれた時から決められた役割をこなし続け、そのどこまでも不条理な状況を変えようと奮闘しても何をやってもダメで、それでもラルフは悪いことをしていない。ただ全体主義な世界に欠かせない住人達の共通の悪役という役割を与えられてしまっているマイノリティな存在。そんな彼の悪足掻きともとれる、良く言えば積極的に自分もフェリックスのような”誰からも愛される存在”になろうと行動することにに共感できるかできないかでこの序盤は意見が割れるところだと思います。持ってる奴に持ってない奴が勝とうとしても勝てない、その理由はこの時点でラルフが自分の欲求を満たすことで目の前がいっぱいだから。

でもこれだけ理不尽な社会だったらそうならざるを得ないよなあとも思ったり。

ただここでラルフばかり責められないのは、ラルフと同じゲーム内にいる住人達。こいつらラルフがいないと仕事にならないってことぐらいわかるだろ。公私混同気味にラルフが蔑まされるのは良くわからなかったです。その後ラルフがいないことでゲームとして機能しなくなってしまうのにその時にラルフの必要性に気付くわけでもないし。

なんやかんやで大騒動を起こして『シュガー・ラッシュ』の世界に迷い込むラルフ、と悪役不在になってしまったために生存の危機にさらされたフェリックスのラルフ捜索の冒険の話。フェリックスは所謂ディズニーらしいヒーローで、ひと様の迷惑を掛けまくるラルフとの対比になっていてラブロマンスもフェリックスがもっていく。ディズニー的なヒーロー像のフェリックスに対してラルフは吹っ切れていないシュレックの様にも見えます。

フェリックスくんと最新ゲーム機からやってきたカルホーン軍曹の関係は、最終的に結婚しちゃうところなど旧態依然としたディズニーだなあと思ったり。

でも近年のディズニーアニメってハードな展開になってから子供向けという建前のためとってつけたようなハッピーエンドに持ち込む印象があるのでしょうがないかなあとも思ったり。


物語の舞台がシュガーラッシュの世界に移ってからはAKBが歌うシュガーラッシュのテーマソングが聞こえてきて大人の事情があったのかなとか余計なノイズも若干ありましたが、

ここにきてようやくもう一人の主役ヴァネロペちゃん登場。この映画はこの娘を可愛いと思えるかどうかで観る人の意見が分かれると思います。

少しウザいと感じてしまう部分もありましたが、表情の一つ一つ、彼女の一挙一動をみているだけでも多幸感に包まれるぐらい愛らしくてしょうがなかったです。

ヴァネロペはシュガーラッシュの世界からはバグ=障害を持ったプログラムであり、彼女のバグの影響でゲーム機自体が故障品だと思われ処分されてしまうかもしれないということを恐れて虐げられている存在。


それでも彼女は逞しく手作りレーシングマシンでレースに出ようとしたり、他ゲームの者=ラルフと出会ったことの喜びを不器用に表現してみたりと自分のテリトリーで生きていて。
でも彼女の願望を叶えるとシュガーラッシュの住人に深刻な被害をもたらしてしまうというハードな状況に置かれた不憫すぎるキャラクター。


そんなヴァネロペとラルフはお互いの利益のためからレース参加を目指すための特訓を始めるんですが、ここからもう涙の洪水状態でした。自分の欠点だと思っていた設定を上手くプラスへと働かせる工夫を施して成長するベタだけど確かなモンタージュで見せるこの展開はこの映画の見せ場の一つだと思います。

ここでヴァネロペのバグが起きた場合どうなるかとか、コーラにメントスをいれると・・・という説明もさらっと入れてくるのも良かったです。


時を同じくしてカルホーン軍曹が追っている虫みたいなのとか、バラバラに進むまったく別の話がクライマックスに向かっていく構成も見事でした。


ラルフがキャンディ大王にヴァネロペのバグが引き起こす惨事を聞かされて、レーシングマシンを壊すところは絶望的なまでのヴァネロペに課せられた、不条理に対する敗北感が漂っていて、ここでこの映画が終わったらアメリカンニューシネマそのものだなとか思ったり。
そして願望の根本だったはずのヒーローになりたいというラルフにとってもそれはヴァネロペの為のヒーローではなくなるという二重にハードな状況に。


ですがこの明確な敵が不在の中での二人の戦いという、不条理な状況に対して自分がどう願望を叶えるのかまたその後に自分や世界はどうなるのかというテーマの追求は途中で切り上げてしまいます。

物語を進めることに集中しだしたのはラルフが一旦自分のが元いたゲーム社会『フィックス・イット・フェリックス』に戻りヴァネロペの画がシュガーラッシュの機体に描かれていたのを発見したあたりからだと思います。

そこからは話のテンポもどんどん良くなっていきます。

ここでラルフがフィックス〜に戻った時に、フィックス〜が処分されてしまうのがラルフだけの責任だったと言わんばかりに責められてラルフがへこむシーンがありますが。これって何かただラルフが我儘野郎だったという見せ方一辺倒になっている気がしました。

ラルフがこうなったのはあんたらフィックス〜の住民のせいでもあるだろ!

話のテンポが良くなるというのはヴァネロペがレースに参加してゴールすることができればいいという目的がはっきりとした一直線の話になるからです。
そのレースでこれまで同時進行で進んでいたカルホーン軍曹の追っていた虫みたいなのも話に絡んできたり、敵が明確になるあたりからはまあ悪く言えばいつものディズニー映画で、よくいえば手堅い感じでした。

ハラハラドキドキでヴァネロペちゃんどうなっちゃうのというところでメントスinコーラの伏線を絶妙に回収するクライマックスは、コーラの火山とヴァネロペ達の位置関係の取り方とか、

3Dの効果もあって目が離せなくなりました。ラルフがコーラの火山に空中から突っ込むシーンは、去年のアベンジャーズでのアイアンマンが核弾頭を宇宙にもって行ったり、鉄腕アトムが同じく爆弾を宇宙にもっていく、要はヒーローらしい上昇ではなく、
下降をカッコよく魅せているシーンにはラルフのオレジナルさもあふれていてグッときます。このクラマックスは3Dならではの迫力が存分に発揮されていたと思います。


あと、フィリックスは昔ながらのディズニー的ヒーロー、ラルフはシュレック的なアンチディズニー的ヒーロー、ラスボスのターボは自らの欲望の為にデータを改変したりキャラクター設定を書き換えてしまったりと、数々の童話を勝手にアレンジして商品化したディズニーの象徴なのかなあとか低脳でかんぐったりしちゃいました。


で、結局ハッピーエンドなんですけど、深いところまでテーマを掘り下げようとしていたし、自分の欠点を武器にする展開は「持ってないやつがたまには勝つ」ということでグッとくるし、なによりも与えられてしまった不条理に打ち勝つためにはどうすればよいのかと悩むラルフやヴァネロペのそれは真の自由とは何ぞや?と問いかけた僕の大好きなアメリカンニューシネマのテーマとも近いものを感じたので尚よかったです。


他にもレトロゲームの最新技術での再現具合も素晴らしいし、

悪役たちの合同セラピーも楽しいし、ヴァネロペ可愛いし、

でも少し長く感じたり、結局ハッピーエンドだし、ゲストキャラクター達の特性も大して活かせていないし、3Dなのに会話シーンのカット割りが多くて見づらいとか、ターボの説明おせーよとか、色々ありますが
文句なしの傑作であることは間違いないと思います!


今回もまたグダグダと乱文失礼いたしました。そして最後まで読んでいただきありがとうございました!!