ササラモサラな気分で

大体は映画のこと書いてます。










《アウトレイジ ビヨンド》


誰の映画だと思ってんだバカヤロー。面白いんだからとっとと観に行けコノヤロー!



アウトレイジ ビヨンド
ピュアすぎる高校生の映画感想 



90点


作品の詳しい情報はコチラ でどうぞ。

まだ観ていない人の為の白字部分があります。

それでも多少のネタバレはあります。




前作のアウトレイジは豪華大殺戮娯楽映画で、斬新な暴力描写と名前の通った俳優たちが大きな声で勢いづける面白さで大好きな映画なんですが。

今作ではどちらかというと往年の東映実録路線的な、裏切りと復讐と強欲な野望を各俳優たちの演技合戦で勢いよく魅せる事に重きを置いていて、前作の見世物映画的な側面が減った、監督本人も言っているように「ストーリーを重視した」作品になっていました。

そういった意味で前作と今作の関係を例えるなら、前作はキル・ビル Vol.1 で今作はキル・ビル Vol.2 といった感じでした。

前作同様に車に被さる「OUTRAGE BEYOND」から始まると、

セリフだけで一気に前作と今作の間(8年間)に何があったかを説明。

この時点で前作を観ていない人は願い下げといった印象でした。

なので今作を観る場合は前作は必修です。

あと、セリフとセリフの間とか独特の恐ろしいまでの静けさとかがウリだった、

所謂キタノ映画のあの世界を観たい人(今作に関してはそんな人いないと思うけど)はセリフのたたみかけとそのテンポとが面白さになっている今作はお勧めしないです。

一応今までのキタノ映画のような暴力の雰囲気はありますが。

桐谷健太と新井浩文演じるチンピラ2人組と工場作業員3人組とのバッティングセンターでの絡みはまさにそれで、いつまで続くのかわからない、胃に穴ぼこがあきまくるようなストレスを与え続ける脅迫は安定のキタノ印でした。

そのチンピラ二人組のバカさ素朴さ虚無感は桐谷さんと新井さんお見事でした。この二人の無情な死が後々の展開に大きく作用するんですが、

その死が悲劇的に見えるように感情移入してくれるような演技の説得力は十分にあったと思います。
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その二人だけでなく今作の俳優陣は皆アテ書きされたように役柄にピタリとはまっていました。その俳優陣の顔芸(もしくは自然な表情自体)や声質、言い回し、各俳優によっての照明の当て方や撮り方は何をしてても見入ってしまうような面白味に溢れていました。

僕的にそれらが突出していたのが中尾彬塩見三省

中尾彬の顔がゴットファーザーのマーロンブランドのように照明があてられたときの顔の凹凸や皺や細かく動く唇に恐怖と欲望と不安の入り混じった目と眉の動き。これがドアップで映るんですよ!言葉にできないベテラン独特の魅力が最高でした。
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塩見三省仁義なき戦いシリーズの大友勝利が少し利口になって、人生経験を積んで、多少空気の読めるようになったような人物を眉剃りの、常に不機嫌そうな態度の、厳つい下品な関西弁でこれでもかというほど怖がらせてくれる本作最恐の男でした。こんな人とは人生の接点を絶対に持ちたくないです。
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アテ書きといえば高橋克典はモロに某特命係長で笑いました。でもここまで現実離れしたキャラクターがでてくるお陰で、アウトレイジという街中でもかまわず惨殺するリアリティのない少しシュールな世界観を確立させるのに一役買っています。

神山繁(なんと御歳83歳!)の成熟された演技は「一度裏切った奴は何度でも裏切りよる」という偉そうなことでもスムースに受け入れてしまうほどの説得力。

名高達男のゴツイ体格だけどよわっちい雰囲気や光石研の小物感。松重豊のある一定以上は干渉しないくたびれた人物の存在感。前作から続投のキャスト陣も見事であり特に加瀬亮は今作で絶対に外せない!川谷拓三以上のうるさ小物だよあんた!

挙げ出すときりのない俳優人達の名演だけでも今作には1800円どころではもったいない!

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↑皆いい顔!!!!

恐怖とギャグの同居というのが前作ではあまり平衡が取れていないところもみられたのに今作ではそこも高水準でクリア。怖くて嫌でたまらない状況でもクスッとしてしまう小日向文世の取り調べなどが顕著。「誰がまたヤクザやるって言ったよ!!?」といいながら白竜の車に乗るというギャグセンスもまたそれに然り。

前作のラーメン屋での顛末はギャグにしか見えなかった。

僕の大好きなタマフル的に言うと福田里香先生のフード理論も生かされていたように思います。

先述したチンピラ二人組はおいしそうにカレーを食べている=本当は悪い人じゃないし、武は人前で飯を食べない=腹の底を他人に見せないなどがあったかと。


ただ一番初めに述べたように殺人描写の面白さというのは少なからずあれど、

あえて外しに行っているてらいはあったと思います。

サービス的にドリルを使った殺しや、バッティングセンターが暴力性に満ち満ちたあるシーン(というか今作のせいであまり行ったことがないバッティングセンターのイメージが極悪に)などはあったものの、

花菱組と山王会の抗争が発展し構成員たちの死体が重なっていくクライマックスはソナチネの終盤のように、

銃器の音だけが響き映るのは血まみれの死体だけだったりしました。

少しは撃たれるシーンもあったけどそこもあくまで淡々としていて人によってはサービス不足に感じるかもしれません。


ラストの武が小日向文世を撃ち殺す→エンドクレジットの流れはあっけなさ過ぎて戸惑っている人もいたようですが、山王会はしょぼくなったし、前作の抗争の原因であった三浦友和加瀬亮も殺したし、武も落ち着き場所は決まったし、武が中野貴雄のかたき討ちをしたし(前作で武に小日向文世がかけた言葉「あんたが生きていないと、かたき討ちできないでしょ」が伏線になっていた!だから武は中野英雄の組の若い衆になると言って前線を去った?)、

もうすべての出来事に決着がついたその瞬間にthe endとなっただけなので、

僕はとてもスッキリとした収まりのいいきれいな終わり方だったなあと。

前作のようにモヤモヤが残る不気味なラストも嫌いではないのですが、

今作では全てが終わった爽快感と、花菱会というまた全く別のストーリーが動き出すのではという余韻が良かったと思ってます。ただ勿論中野貴雄が殺されてしまったこととかに対しての不快感(いい意味で!)はありますけど。


ただ、話が御都合的に進みすぎなところもあって。

三浦友和はそもそも先代のボディーガードなんか幹部にしないで殺しておけばよかったわけだし、三浦友和簡単に騙されすぎだし。

武のキャラクターも前作の半狂の武闘派ヤクザから(その要素は含んでいるけれど)「根はいい人なんですよー」というのがやたらと前に出ていたように感じました。まあ武の映画ですもんね。


なにはともあれとにかく楽しい楽しい映画なので金玉ぶら下げてるやつは観に行けバカヤロー!!そうじゃない奴もだコノヤロー!!です。

以上、今回はいつも以上に長々と乱文失礼しました。ここまで読んでくださりありがとうございます。


10月20日にアップした時点での本記事内で、

中野英雄」さんを「中野貴雄」と誤ってしまっていたので、10月21日に訂正させていただきました。大変申し訳ないです。

中野貴雄さんは映画《巨乳ドラゴン 温泉ゾンビVSストリッパー5》の監督です。