読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ササラモサラな気分で

大体は映画のこと書いてます。










《桐島、部活やめるってよ》

新作映画(2012)

持たざる者の逆襲。


 

桐島、部活やめるってよ
ピュアすぎる高校生の映画感想 






93点


作品の詳しい情報はコチラ でどうぞ。




全く期待していなかったんですが、今週のタマフル宇多丸師匠&町山智浩御大が語らうらしいのでそれを楽しむ目的で観に行ったんですが、今年ベスト級でした。

突然ですが、僕は現在高校2年生で某都立工業高校に通っています。工業系は事実上の男子校です。なのでこの映画を観て心底「共学なんかに行かなくてよかったなー」とほっとしました。

男子同士だとこの映画のように露骨なヒエラルキーは出来づらいのですが、

女子がいると男はまあモテようモテようとして風貌、見栄えばかりを気にしたり、女は女でなんかごちゃごちゃあるみたいじゃないですか。

だいたい風貌と運動神経が学園生活を送る上での充実度に比例するなんて野蛮極まりないですよ。

僕は中学生の時はほぼ不登校でときどき学校に行っても寝たふりか映画秘宝を読むか、そのクラスでの底辺とみなされているやつ=今回の映画での桐島達が絡んでくるぐらいだったので、

この映画を観てる間は桐島達の女子に対する挙動不審ぶりとかに爆笑しながらも、共感して嫌なことを沢山思い出していたたまれなくなったりしました。

その学校生活上でのヒエラルキーの描き方が実に見事で、キャスティングも脚本も大変に高い出来だと思いました。

生徒同士のすれ違い方、声の大きさ、視線を向けてから降ろすまでの間隔、等々ディテールが繊細で観ていてクスリとしながらも、自分が共学に行っていたら間違いなく桐島達のような立ち位置なのでゾッともしてました。



別々の視点で金曜日を何度も繰り返すというパルプフィクション的な手法は、がこう生活といういつまでも続くようなループ感のある日常を表現するのにとても合っていました。そしてこれからそのループから逸脱していく展開を盛り上げる役目もあったり。

毎回その人物の視点限定というわけでなくさっき見たシーンもさらっとおさらいしてくれるので見やすかったりと芸が細かいです。

土曜日の試合での銀残し(?)みたいな、朦朧としたような主観映像も、ミスしてしまった彼を残酷に映していて、いや〜な感じでよかったです。

日曜日の、クラスメイトの女の子にペプシをおごる時に手の震えとかの挙動不審さは、じぶんもやっちまいます。

もうここまで「嫌なこと思い出させんな」な思いでいっぱいなんですけど、

各々のキャラクターの立ち位置を冷静に映していて、誰もが誰かに感情輸入できるようになってるのはうまいと思うし、

それによって共学の高校生達の可笑しさがとても楽しいです。

で、ここまで観てると「ただのあるある映画(←今考えた)かな」って思ったり。

ただ観客に「こういうことってあるよね〜」て言う共感を寄せるだけの映画ってことです。

でも、クライマックスでそれぞれに何かを失った状態(失恋とか)のやからと、

「桐島という存在=学校での自分達位置を明確にする基準」を失うことを恐れてる者たちやらが一堂に会す。

そこで高らかに自分を自分自身と他者を己の中で両立させ表現することの素晴らしさを映画を通して表現するという行動に変え、これこそ素晴らしいと宣言する。映画愛に満ちたこのシーンは観てる間ずっと鳥肌立ってましたよ。

あと、僕が共学での所謂「学年の中心」の方々に対して思っている「てめー中心で地球が回ってんじゃねーんだよ」を行動に移してそれを映画愛と絡めて見せているのも、前田のこのシーンまでの過程と映画部員たちの学校生活での待遇(先生からも生徒からも含めて)がしっかりとあるので、手堅いなーと。

音楽の使い方もそれまではBGMが一切なしで、吹奏楽部の女の子がサックス吹くぐらいしか音楽はないんですが、このクライマックスで使うためだったんですね。こーゆーさりげない気遣いの盛り上げ方も素晴らしいです。

この映画の終わり方は何だったんでしょうか。

結局桐島がいないと自分の立ち位置どころか、存在意義もわからなくなってしまったのは、中盤「できる奴は何でも出来て、云々」と言っていたこいつだった。つまり中心だと思ってるやつは自分が見下している人間と同等だってことを理解しろということでしょうか。

菊池は自分が知らずのうちか見下していた者たちのほうが自分よりも輝いていたということを文字通り知ってしまうわけだし。


まあ僕のしょーもない解釈ですが。

ということで、観終わった後に誰かと語りたくなったり、一人で考え抜いたりしたくなる素晴らしい映画だと思いました。監督さんと脚本家さんすげーです。

あとは、とにかくキャスティングが見事。

橋本愛は誰にも深入りしすぎず干渉しすぎず、だが中心に近いところにいるというしたたかさがあっていたし。清水くるみのチョイ地味だからこその、またこれも彼女なりのしたたかさリアルだったし。女子4人グループの中のジャイアンスネ夫である二人も観ていていらいらいらいらしたのでラストの橋本愛にやられることとか見ていて清々しかった。

松岡茉優は黒澤映画の山田五十鈴的なやくがぴったりなんじゃないでしょうか。

男どもも、リアルでした。あいつらは実際にあんな奴らでしょ(いくらなんでも失礼ですね。さーせん。)

あとこの映画の神木隆之介が町山さんに似てて、映画ヲタをこのイケメンがやってる所にも飲み込みやすさを感じたりしました(単純に演技がうまいだけに決まってるんですけど)。

前野朋哉演じる前田の親友もあの出で立ちは見事でした。

サッカーなんて共学での学校生活を生きる、中心じゃない奴らにとっては地獄ですよ。ただあそこはギャグとしてもデブをあからさまに下に観てる感があったかなー。でもこんなことちまちま言う人は心が狭いです(なにがなんやらですね。さーせん)。




というわけで、100点でもいい作品なんです。けど僕は今の学校生活にそれなりに満足しているし、このまま着々と自分の入りたい大学に入ろうとしているので、別に今この映画を観て学校生活云々とか考えても中学の時の嫌な奴らを思い出して不快になるところが多すぎたので今回はこの点数。観るときによって評価が変わると思います。


あと桐島というマクガフィンは、象徴であり基準ということだと思いました。






以上です。今回はいつも以上にぐだぐだと自分のこととかしょーもない解釈とかばかりになってしまいましたが、ここまでよんでいただき大変ありがとうございんす!!!