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ササラモサラな気分で

大体は映画のこと書いてます。










《一命》

新作映画(2011)


今年の新作映画ベスト1!!(仮)


 

 一命


ピュアすぎる映画感想  by16歳童貞高校生



95点


作品の詳しい情報はコチラ でどうぞ







異聞浪人記最初の映画化《切腹》は大好きな作品で、現在と回想が行ったり来たりするのを現在で登場するアイテムなどから展開させていく手法や徹底した武士道批判、千々岩求女の印象が話が進むにつれ変わっていくなどなど色々なところに衝撃を受けました。無論俳優があっての名作で仲代と三國の存在感が物語を推し進めているものだとも思います。



異聞浪人記の再映画化の本作品は絶対的評価が定まっていて且現代でも

その評価に値する見ごたえを有している名作《切腹》の存在は言わずもがな

避けては通れないわけですが、切腹の展開の手法を多少参考にしている&

オマージュしている程度で決して焼き直しなどでなく別作品として楽しめる作品だと思いました。

物語的には《切腹》で完成されているためそれの語り直しを違った手法でやるのとプラスアルファもしくはブラッシュアップをきちんとこなしていたことと、

視覚的にわかりやすくしたことで切腹とは別物になっていました。

つまり今の技術だからできることもちゃんとやっていてたとえば後述する紅葉を使った表現方法や情報量の削減、ふとした拍子での劇的な展開のときのカメラワークなどとても見ごたえのあるものでした。



井伊家家老である斎藤(役所広司)が直々に浪人の津雲(市川海老蔵)に武士のプライドを捨てて且下劣になり下がって死ぬ「井伊家での狂言切腹」を斎藤自身も気づかぬくらいの武士としてではない人間性でやめるように求女(瑛太)の事実を参考に促すところからこの映画にぐいぐいと引き込まれていきました。


戦を経験したことがない「武士」が「武士としての誇り」の偉大さを持ってして狂言切腹を成功させようとする求女を限りなく残酷な方法で「罰する」。

前述した斎藤の人間性が、もしくは戦を経験した男として、情けを与える。

このシーンの筆写がとても見事で瑛太の様々な苦しみを含んだ叫びは三池監督

お得意の内臓が飛び出るなどの視覚的残酷演出が無いのにこれ以上になく観ているものにその苦しみを共感させています。瑛太がこんなに凄い役者さんだとは思いませんでした。



日本ならではの四季を使った主人公たちの状況を暗喩的に説明する手法も見事だと思いました。紅葉(枯れかけた葉)→猫の死骸→子供の泣き声という流れや直接的に困窮な状況に追い込まれているのを筆写するのにも少なからず嫌悪感、人間的ではない行動(瑛太が卵をすすったり)をみせるのもこの作品のテーマを語るのに適切な筆写だったと思います。

特に紅葉がらみは良かったです。赤くなってから消えるのは瑛太が持ち帰った和菓子が血に染まって赤くなっているのにそれを食べる満島ひかり→そして死ぬ満島ひかり→私はただ春を待って生きているだけだった的なことを最後に言う海老蔵という流れはきれいでした。



他にも視覚的に井伊家の庭の人工的(作り物、ハリボテ的)な雰囲気、

そこでの海老蔵と役所の背景の違い(前者が白で後者が黒)、

満島ひかりの変りっぷりそして赤・黒・白の印象的な使い分け、

どのシーンを見ても(一部を除く顔のアップ以外)その部分のフィルムを切り取って

引きのばしたら画になるような計算された美しさ等々もよかったです。



武士道はしょせん幻想、理想でありそれに尊厳をもたせるも持たせないも所詮人間(バカでも)次第で、海老蔵は井伊家の赤い甲冑=武士の誇りの象徴を何とか破壊し自らを犠牲にして武士道とはということを武士としてそれを見るものの脳に焼き付けて死にます。海老蔵にやられた3人の武士は人一人を人間性を踏みにじって死なせたことに対するいまわしめからか武士として切腹、いやいや切腹、誇りもくそもなく人間として生きる、という別々の道を筆写することで一人の男から学んだことを様々な解釈としてみせます。

でもその後武士の誇りである赤い甲冑は元通りになっています。

武士道なんてしょせん幻想(ry、簡単に戻せるくらいのもんなんだ武士道ってということをみせます。


最後に殿が「きれいになったな」というさまざまな含みを持った言葉を発して終わる

という個人が体制に負けたことをまざまざと見せつける不穏な余韻を残したで映画は幕を閉じました。



武士の誇りを絶対としてその誇りを汚すようなら死さえ恐れないという役所は肝心の決戦では手を汚さず、いくら強いとは言っても所詮竹刀をもっただけの相手に恐れおののく武士たちに誇りなどありませんでした。





思い出したように書きますがキャスティングが見事でした。

波岡一喜のスネオ風小悪党な感じや新井浩文のなよっとしている感じや青木崇高のその旨を限りなく浅く理解しているだけで「天皇陛下万歳!!」という自称右翼少年のような武士っぷりなど顔やその体格にあった行動で視覚的にもわかりやすいキャラクターとして成り立っていたのは物語の推進力になっていると思います。

言わずもがな海老蔵の眼力の緩急のつけ方やそれと対等できる眼力と家老を演じられる風格を持った俳優として役所広司を配置したのは(知名度的にも)現代では大正解だと思います。満島ひかりはかわいくて演技力もあって三池監督らしいなんとも言えないポーズ(血を吐いているときの画面にケツを向けているシーン)もこなしてて良いじゃないですか!!