ササラモサラな気分で

大体は映画のこと書いてます。










松方弘樹

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2017年11月21日、松方弘樹が亡くなりました。

 

大好きな俳優であり、大好きな映画やドラマに出ている方ということと、当ブログのタイトルに使っている「ササラモサラ」は《仁義なき戦い 完結編》での松方のセリフということで、思うところを残しておきたいと思います。

 

様々なジャンルの映画やテレビドラマ、Vシネからバラエティ番組までその仕事の幅広さにこれぞこの人の代表作だといえるものが思い浮かばないです。

狂犬ヤクザ・ヘタレな若造・老獪な殿様・頼れる上司・最強の剣豪...

どの役をやっても松方弘樹そのものにしか見えない大スターでした。

かといっていつも同じ芝居しかできない役者というわけでもなく、確かな演技力を持ち、求めらっれた役回りをこなす見事さは仁義なき戦いシリーズで演じた3役の違いからも明らかで。それと同時に作品世界を破壊するパワーと魅力にあふれる様は家光の乱心や十三人の刺客などでいかんなく発揮されていました。

 

出演作を追うごとに、その実態がうかがい知れなくなるのは不思議な感覚でどう形容していいのかわかりません。

 

しかしこの役者になぜ魅入られてしまうのか、少しばかり正解に近づけた気になれる映画を最近見ました。《時代劇は死なず ちゃんばら美学考》という映画で、ドキュメンタリーですが松方弘樹最後の映画出演ではないでしょうか。

この映画での松方は、映画が大好きで大好きでしょうがない。映画に情熱を燃やし続ける『映画人』そのものでした。

 

 

大スターと名バイプレイヤーを同時進行で成し遂げ、世代を超えた活躍で往年の名作から受け継がれるべき技術までを伝えた、あまりにも偉大な俳優・松方弘樹さんのご冥福をお祈りします。

2016年に見た新作映画ベスト10+1

 

 

 

 

全然更新していない当ブログですが、年末なので今年見た新作映画の中からベスト10と+1として次点を決めてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.シン・ゴジラ

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今年はこの映画にペースを乱されました。8~10月は映画館でこれしか見ていませんでした。理想的な邦画というんですかね。日本語ならではのテンポをつくりながら、娯楽大作らしい実力者の演技合戦と劇伴の緩急、カット割りとディティールによって「がんばってるな~」を感じさせない特撮の素晴らしさ。東日本大震災以降の日本映画のリアリティ水準を保ちつつも破壊の享楽を忘れない破壊描写。それらの絶妙なアンサンブルに没頭させられてしまいました。

 

一般人の棒読みや庵野監督ならではと思わざるを得ない石原さとみ演じるレイヤーが一つか二つ違うリアリティに存在するキャラクター、あえて伏線を張らないヤシオリ作戦や敢えて謎を残して終わる構成は嫌だなとは思います。

 

しかし、伊福部楽曲や監督自身の過去作からその魅力を最大限に生かす形での引用や、「最悪な状況だって、やればできるんだ」という理想的過ぎて鼻で笑ってしまいそうなメッセージをリアルなシミュレーションのなかで熱く語られたとこにやられました。

 

破壊と復興、圧倒的な恐怖、それらに新鮮なカタルシスをもたらしてくれたということで、2016年の1位にせざるを得ないと思います。

 

 

 

 2.クリムゾン・ピーク

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初めて見た時から「今年のベストだ!」と決めていました(シンゴジがあんなことになっているとはしるよしもなかったので・・・)。

 

幽霊ぽい人の造形とか、トムが初登場時から胡散臭すぎだろとか、展開が主人公に甘すぎて萎えるとかいろいろと不満のほうが多い映画でした。

 

それでもベストだと思ってしまったのは、大好きな楳図かずおのイズムを完璧に体現した映画だと思えたからです。ドロドロした人間関係とドロドロしたガジェット。過剰におどろおどろしい劇伴に大仰な演技と薄汚れつつも絢爛な衣装。この上なく楳図作品の完璧な映画化でした!以上!

 

 

 

3.クリード チャンプを継ぐ男

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中途半端に恵まれてしまった男が主人公という点がとても新鮮でした。実家は裕福、仲間もいる、女の子とも仲良くできちゃう、身体もそこそこ強い。そんな恵まれているといわれてしまう境遇のクリードは、今年見た映画の中で一番共感してしまう人でした。

 

イケてはないけど、俺らって底辺だよな的に自虐するほどネタのない、それでいてどこに馴染むこともできずマジョリティを否定することもマイノリティを名乗るほどでもない。でも熱くなりたい、俺だってやってやりたいんだよ、という自分の気持ち悪くも嫌いになれない部分を重ねて観てしまった映画です。

 

自分が生まれた時から永遠に切り離すことができない”過去”を背負いながら、様々な人に出会い成長することでそんな過去が霞むぐらいに自分の道を自分の選択努力によって照らすことが出来るんだという希望を見せてくれました。

 

経済的な余裕や生来の人間性など抗うことの出来ない中途半端な境遇に生まれた者ならではの苦悩とハングリーさの強さは新鮮であり希望になりました。

 

そして、そんな人間にも、誰にでも訪れる普遍的な悲劇としてて「別れ」があること。それを描いているところも大好きです。

 

ロッキーの物語を自分がリアルタイムで見させてもらえただけでもベストなんですけどね。

 

ボクシングシーンの長回しやランニングからのヤンキー共にロッキーを激励するところなど名シーンの数々も素晴らしかったし、やっぱり何よりも「これは俺の映画だ!」となったがこれでした。

 

 

 

4.ヒメアノ~ル

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吉田監督ならではの”間”と”狂気”を存分に堪能させてもらえました。見ていて気恥ずかしくなるくらいに初心で、下手すればファンタジックすぎる甘ったるい恋愛シーン。

 

やるほうもやられるほうも見っともなく容赦のない痛さをブレーキ無く見せきる森田の極悪非道な暴力。

 

これが同じ世界観に共生しているという、言わば希望と絶望の面白さ。

 

そしてなにより、タイトルコールがくっっっっそカッコイイ!

 

これに尽きると思います。原作のよさを残しつつ古谷実的なコミカルでいて殺伐としている独特のテンポを、吉田監督ならではのテンポに置き換えてしまうその手腕はうっとりするほど素晴らしいんじゃないでしょうか。

 

様々なジャンルを行き来しながら世界観をまとめ上げているという意味で、とんでもないことをやっていると思います。

 

藤原カクセイさんに頼りすぎに見える寄生獣アイアムアヒーローと違って(どちらも好きですが)、さりげないグロテスクなカットもよかったなあ。

 

今年見た実写邦画では一番見やすい、いわばウェルメイドな作品だとも思えました。

 

 

 

5.日本で一番悪い奴ら

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実直が故に非道を迷わず行く青年の栄枯盛衰を組織の一部と捉えて描くダーティな物語って、往年の東映実録路線じゃないですか!大好物ですよ!

悪い大人たちがその卑劣さを武器にのし上がっていったり蹴落とされたりするパワーゲームで、熱を帯びている若者たちの青春で、酒池肉林と絶望的な状況があって。。。

2016年においても実録路線は作れるし、これが似合う俳優だっているじゃん!

ってことで、見てる間はとにかく楽しかった。スカパラken yokoyamaの主題歌もぴったりでした。邦画での銃の扱い方として新たな道標を立てたことや、覚せい剤関連の描写は今後の邦画がどう参考にするかが楽しみになりました。

 

 

 

6.この世界の片隅に

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評判も聞いていたし、同じ原作者の「夕凪の街、桜の国」は大好きな漫画だし、予告も素晴らしいってことでどーせ予想以上にいい映画なんだろうと構えて観に行ったら、やっぱり予想以上に良かったです。

戦時中の日常ものという視点が徹底されていて、原爆が落ちた日までそのトーンでいることが何よりも斬新でした。水彩画のような美しさと声優陣の名演、色彩設計やシンプルでいながら情緒豊かな表情など技術的なクオリティの高さ。戦争の嫌さを失わないままにつらさと楽しさを事実として映し出すイデオロギー的なバランスのよさ。時代考証の確かさ。などなど、映画を見るだけでなく評論や制作背景などこの映画について知れば知るほど如何にとんでもないことをやっているかにただただ驚かされるばかりでした。

あらゆる立場の人々を美化せずにありのままを見せ、全ての人に戦争の罪があることを認めつつも強かに生きることが善悪の境なく羨望できてしまうって、どこをとっても素晴らしいと思えてしまう映画が存在しうることが嬉しすぎるのでベストに入れた次第です。いい映画って、形はどうあれ作ろうと思えば作れっるって、それだけで希望にあふれてると思います。

 

 

 

7.さらば、あぶない刑事

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ドラマシリーズもも映画のほうも全く見ていなくて、完全な初見でした。それが故にベストには入れておかなっければなと思い入れてみました。村川透の確かで少しキッチュな職人技は安定感と底抜け大作さが絶妙に出ていて、経験したことはないけど懐かしさを感じるものでした。ぬるま湯みたいな心地よさと、ベテラン俳優のおふざけの微笑ましさ、そして本気になった時の圧倒的なかっこよさには、してやられたという感じがしっくりくると思います。浅野温子はうざいしベンガルが数年前に邦画界で乱用されていたベンガルそのままだったのも、逆に今の時代にこれをためらいなくやっていることがよかったです。

リアリティラインが独特でいながら世界観が保たれているアクション作品として、その完成度はかなり高いと思います。というか、かっこよく見せようとしているところがちゃんとカッコイイのは素直に感動です。吉川晃司ならではの蹴りや主演二人の銃の構え方、バイクアクションやいちゃいちゃゴルフなど、ある意味で緩急のつけ方が素晴らしい怪作であり快作でした。今年見ていなかったら確実にベストに入れていません。

 

 

 

8.ヘイトフル・エイト

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タランティーノの到達点だと思います。限定空間での作劇、、ヒューマニズムを根幹とした展開、笑っちゃうほど凄惨な暴力描写とブラックな笑い、娯楽大作としての体裁、モリコーネの起用、初期作品で活躍した俳優の再登板と近作での起用俳優のハイブリッドなどなどタランティーノの実力のすべてが注ぎ込まれていると思いました。それをリアルタイム見ることが出来たのでベストです。本当はもっと高い順位でもいいんですけど、日本での上映形態がなあ…。

 

 

 

9.ちはやふる 上の句

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ケレンたっぷりの演出と、若手俳優陣の今しか見ることのできない若さゆえの魅力がつまった傑作でした。

演者の魅力で圧倒させることに全力を注ぎこんだ映画だと思います。それ以上でもそれ以下でもない潔さと、競技かるたの映画的なアクション性が楽しかったです。というか、この映画というよりも広瀬すずをはじめとする若手俳優陣の掛け合いが大好きなのでベストです。二部作ながら一つの物語として完結しているのも、本来は当たり前だと思うんですがよかったです。

 

 

 

10.FAKE

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ドキュメント映画ってあんまり見ないのと森監督作が初めてだったのですが、めちゃくちゃ面白かった。どこまでが嘘なのかわからないフィールドに森監督が干渉することでどんどのぼやけていく真実と、後世の妙で物語を見出してしまうことによる不思議なカタルシスがありました。今年見たということを後々に強調しておきたいのでこの順位ながらベストに入れておきたいと思います。

 

 

 

次点.殿、利息でござる!

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阿部サダヲのキャラがもはや何もお考えていないように見えるとか、妻夫木が不憫すぎるとか、結局搾取されっぱなしのオチかよとか、嫌なところが多い映画です。話の筋も無理があるわけじゃないけど特に盛り上がるわけでもないので退屈です。誰にもお勧めしたくない映画だし、正直つまらないです。

しかし、エンドロールでRCサクセションの「上を向いて歩こう」が流れたところで豪空しました。そして、その瞬間に今年のベストに決めました。

曲のテンションと反する歌詞の内容と、それを高らかに歌い上げる清志郎が、この映画にぴったりすぎて今まで見た内容をすべて肯定したくなってしまうんですよ。

僕がいつも聞いているライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルというラジオ番組で、パーソナリティの宇多丸さんが今年のベストエンドロール賞というの決めていましたが、僕にとってのベストエンドロール賞は他の追随を許さずこの映画一択です。

 

 

 

 

 

というわけで、今年は40本くらいしか見れなかったことと(シンゴジを10回以上見たため)見たものすべてにランキングをつけるのが面倒だったの10本とどうしても外せなかった1本を選んでみました。

来年はスコセッシやらノーランやら、アニメ版ゴジラやらブレードランナーやらありますね。

それでは、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

よいお年を~。